つくる
2010年11月13日
ナイジェリア中部で開かれた、アーティストの国際ワークショップに参加したときのこと。
砂の地面に画用紙を敷き、そこに座ってただみんなを見つめていた。ひとり静かに黙々と手を動かす彼、鼻歌を歌う彼女、皮肉まじりに政治の話をしながら笑いあっている彼ら、昼寝に行ったまま帰ってこない彼女たち――それぞれのスタイルで、アーティストたちが作品をつくっている。手もち無沙汰でずっと砂をいじっていたら、指先と画用紙がところどころ赤茶色になった。この季節にサハラ砂漠から吹く風「ハマターン」が強くて、折れ曲がる画用紙を時どき手で押さえていたからだろうか。
ワークショップが終了する2日まえにできあがったのは、ふるいにかけたキメの細かい赤茶の砂と、その砂で描いた絵 。砂は、みんなで飲んだネスレの「ミロ」の空き缶と袋に詰め、絵は洗濯バサミで物干し紐にとめた。絵は風に揺れて飛んで行った。みんながさわった砂は、風に舞って大地に散った。人にふれられ、自然と同化したものがわたしの作品となった。
参加アーティストたちみんなとナイジェリアの自然が、「つくる」ということを教えてくれた。
(毎週土曜日更新)