オロカダ!
2011年1月17日
バイクタクシーの運転手のことを、ヨルバ語で「オロカダ」という。文字通りの訳は、「バイクを持つ人」。
飛行機、バス、自家用車、バイクといった交通手段のなかで、もっとも多くの人びとがナイジェリア国内で利用しているのは、おそらくバイクだろう。100~125ccのバイクは、タクシーや自家用の乗り物として一番身近に存在している。
「バイクは危ないから極力乗らないように」
子を持つ親や老いた親を持つ子なら、きっと必ずそう言う。道を行く車と人の隙間を飛び交うハエのようなバイクは、人びとに怪我をさせ、命すら奪う。バイク事故があまりに頻繁であることから、2009年よりヘルメット着用が促されるようになったが、徹底化にはいたっていない。リスクを考えれば、バイクには大切な人を乗せられない。
それでもわたしたちはバイクに乗る。ラッシュアワーやしょっちゅうおこる洪水時の渋滞では、バイクのみが前進できる。地方都市の住宅地や村の道は舗装されていないから、バイクだけが頼りだ。
手と目で合図しながらオロカダを呼びとめる。
「オロカダ!」――それは9jaの日常の、ときに愚かで、ときに賢明な選択の叫びだ。
(毎週土曜日更新)