天気予報
2011年3月5日
夕方4時をまわればいつだって気にしてしまう、空の色。風が舞い、椰子やバナナの木々がざわめく。灰色の雲がぐんぐんと押し寄せて、淡い水色の空を覆っていく。ところどころ、その隙間から光がまだわずかに差しこんでいる。
露店のパラソルの縁がはためく。支柱の鉄パイプと重石のコンクリートブロックは耐えている。店主たちは商品に透明のビニルシートをかぶせる。客たちは足早に去っていく。電線が揺らめき、家々から音と明かりが消える。
「オジョンロ、サレオー(雨が降るぞ、走れ)」
後ろから聞こえてきた声に押され、走りだす。
大粒の雨と落雷で天地がどよめく。家や軒下で、人もヤギも、静かに待っている。
(毎週土曜日更新)