ゴッド・ブレス・ナイジェリア
2011年6月25日
2011年、9jaで再会した人たちの多くは、「震災で大変だったんだってね」と声をかけてくれた。新聞、テレビ、インターネットを通じて、「3.11」のニュースにこの国でもたくさんの人びとが胸を痛めた。
地震や津波、噴火や台風といった天災のない自国について、「これは神が9jaにあたえた恵みだ」と言う人たちがいる。それに対してかならず返ってくるのは、「天災はなくても人災だらけじゃないか。毎日どれほどの人間が交通事故で、病気で、空腹で死んでいってると思う?」という声。リーダー(政治家)たちが国の富を独占して居座りつづける限り、この人災は永遠に起こりつづけるという嘆きだ。
2011年5月より、ナイジェリア連邦共和国を率いるグッドラック・ジョナサンの新政権。死者をともなういくつかの暴動は起きたが、ナイジェリアの選挙史上もっとも公平に、最小限の被害におさえた選挙によって誕生した。「これからナイジェリアはよくなっていく」という期待の声も耳にするが、あたらしいリーダーたちは「人災」をとめることができるだろうか。1億5000万の国民の切実な願いは叶えられるのだろうか。
「ゴッド・ブレス・ナイジェリア(ナイジェリアに神の恵みあれ)」
渋滞でゆっくりと進むトラックの背に記された文字を、雨上がりに現れた光のなかではっきりと見た。
(毎週土曜日更新)