31
2011年7月29日
真っ暗な夜、2本のロウソクがケーキを照らし、“Happy Birthday”の文字がくっきりと浮かぶ。2011年6月25日、オメナは31歳になった。
コルクの抜けないワインと格闘するサム。
「もういいよ、スプライトで乾杯しよう」
ひたいと首を汗でじわじわ濡らしていく彼に、オメナは笑って言った。
半分充電された音楽プレーヤーから流れる音にあわせて歌うわたし。
「はじめて歌ってくれたね」
失恋の歌だったのに、オメナは喜んだ。
30という夢を抱いて一緒に眠ったあの夜から、365日が過ぎた。これはまだ夢なのか。胸からあふれでた不安と期待いっぱいの湖を、わたしたちは泳いでいる。
(毎週土曜日更新)