病と闘う
2011年8月27日
9ja の暮らしにつきもののマラリア、チフス、肺炎、黄熱病などの命をおびやかす病。人びとは、ときにそれに打ち勝ち、ときにそれとつきあい、またときにそれに屈する。
トインはマラリアとチフスに同時にかかり、直後、肺炎をおこした。わたしは電話をかけ、祈ることしかできなかった。毎晩、電話で細くて小さな声で返ってきた、「よくなってきたよ」の一言に、わたしは勝手に安心していた。
薬を買える幸運な人たち。待合室の長い列で待ちつづける患者たち。ただ神に祈るしかない家族や友人。残してはいけない幼い子どもを思って、信じて、祈る患者。毎日多くの人たちが病と闘って生きている。
病に打ち勝った日にトインは言った。
「9ja でひとりで暮らしているあんたに心配をかけたくなかった。だから言えなかったよ、血を吐いた日も、死ぬんじゃないかと恐ろしかった夜も」
(毎週土曜日更新)