犬は自分を映す鏡のひとつ
2013年11月12日
=ある世界的なカリスマドッグトレーナーが出演しているアメリカの番組を、最近機会があるたびに見ている。愛犬の問題行動に悩んでいる人はアメリカにもたくさんいる。そして番組では、犬との健全な関係を築くコミュニケーションをはかっていく上で、飼い主の「信頼と忍耐、そして良いエナジー」の重要性を盛んに語っている。それがベースにある上で、しつけを始めとするさまざまなアクションを行うということだ。犬はそういうことを敏感、かつ瞬時に見極めているという。
=もちろん人が犬を選んでいるわけだが、逆に犬も人を選んでいる、評価されているということを意識せず、自分の利己的な心を、多くの場合、無自覚的にしろ犬に押し付けている飼い主もたくさんいるというわけだ。また、押し付けるということはたいていせっかちになりがちなことも事実だ。だから、番組を見ていると、犬をしつけていくことよりも、飼い主、つまり人間を教育していくという部分が多いぐらいなのである。
=日本でも意識の高い飼い主が増えてきたとはいえ、飼われる犬の数も増えているので、そういう状況は変わらないと思う。
=この人は信頼に足る人間なのかという深い部分までを犬が判断しているとは言わないまでも、犬に対して恐怖心などのネガティブなエネルギーを発していたり、たとえ犬好きでも、その時の犬の状態を考慮せずに自分中心のエネルギーを発散していたり、せっかち系の自分のペースを押し付けていくと犬との信頼関係は築けないし、犬の問題行動も現出してくる。つまりその人の心の状態や性格の傾向が犬に投影されてしまうのだ。人も自然体でリラックスしながらも、毅然とした態度で忍耐強く接することが基本とその番組では教えていた。
=“愛犬は飼い主に似てくる”とか、“犬は自分を映す鏡”というようなことを、私もこのブログで書いたが、その番組を見て、自分の思っていることはまんざら間違っていないなと再確認した次第である。
=以前に私は犬に好かれるみたいで、相棒の女性から“あなたは犬だから”と言われているとも書いたが、自分の状態をよくよく振り返ると、確かに私が犬に会うときは自然体に近いと思うし、たとえ知らない犬でもその犬の状態を見た上でだいたいリラックスできている。その犬に問題がありそうな場合でも、恐怖心というよりも平常心を保ちながら高い集中力を持って接してきたと思う。だから犬もこの人は信頼してもいいと思ってくれたから懐いてくれたのだろうし、問題犬でも私の言うことはよく聴いてくれた経験もあるから、私の犬との接し方は間違っていなかったと、改めて自信を持つこともできたのである。
「犬は犬好きの人がわかるよね」とよく言われるが、単純に好きな気持ちを持てば犬がわかるのではなく、心が自然体を保てるような好きという感情の持ちようが大切で、そうすれば信頼してもいい人だと犬が判断するというのがより正確だろう。
=それにしても、たかが犬、されど犬。これほど人の心の状態を見抜ける感性を持っている動物は、他には存在しないだろう。さらに言えば“犬ごころ”と“人ごころ”の構造は、かなり似通ったところがあり、だから犬もそういう感性を備えることができたのではないだろうか。
=最後に、蛇足ながら最近撮影した面白い写真があるので紹介させてもらいます。題して『虹に願いを』です。