プロローグ その1
2010年6月30日
写真:団体の観光客を迎えるときや、結婚式で踊りが披露される。このなかにはすでにリングを外した女性もいる。2004年、メーホンソーン県のカヤン観光村にて。
「首長族」観光へ
2001年2月、私は大学の友人に誘われてタイにいくことになった。出発の10日前に誘われた私は、まだパスポートも持っておらず、慌ただしく出国の日を迎えた。そんな急な誘いでも、私がタイに向かったのには理由がある。渡航の目的が、「首長族」を見にいくことだったからだ。幼いころ、テレビで「首長族」を見たときの衝撃。「自分自身の目で見てみたい」という興味が、私をタイへと向かわせた。
私たちが訪れたのは、タイ北西部メーホンソーン県にあるファイスアタオという村である。いまでこそ、丁寧に「あと何キロ」という看板が目につき、村へとつづく道路は舗装されているが、当時、道路は舗装されておらず、車がパンクしそうな強い揺れを感じながら村へと向かったのを思い出す。舗装されていない道路、見慣れない木々が生い茂る風景は、私たちに「秘境」を感じさせるのに十分だった。