ラゴスの宿
2010年4月24日
携帯を気にしながら、ベルトコンベアと1時間半のにらめっこ。やっと自分のバックパックを見つけ、出口へ向かう。携帯はまだ鳴らない。はしっこの目立たない場所を探して荷物を置き、携帯をにぎりしめる。2時間経って、係員たちが掃除をはじめる。空港からだんだんといなくなる人びとを、柱に寄りかかり、ぼんやりと眺める。
ここ、西アフリカ最大の商業都市ラゴスの国際空港には、宿やレンタカーの案内所もなければ、バスはもちろん、安心して乗れるタクシーもない。
空港に着いてから約4時間、左手のなかで携帯が鳴った。息を荒くして来たシェグンはわたしのバックパックをつかみ、急ぎ足で車へ。びっしょり濡れたシェグンの背なか。バスの運転手をしているシェグンの兄、ラジャが運転席にいる。わたしたちを乗せたラジャ兄さんは、渋滞で大混乱する夕刻のラゴスを悠々と駆け抜けていった。
シェグンの下宿に着いてまもなく日が暮れ、一本の蝋燭(ろうそく)と灯油ランプに火が灯された。夕食を済ませると、シェグンが貸してくれた石けんの香りのする布を床に敷き、ラジャ兄さんが持ってきてくれた蚊帳にくるまって横になる。大阪の下宿を出てから33時間。ここはわたしが安心して眠ることのできる、最高の宿だ。
(毎週土曜日更新)