清水弘文堂書房マーク 清水弘文堂書房 SHIMIZU KOBUNDO


30

2010年7月31日

オメナと一緒にわたしの部屋で晩ご飯を食べた(鶏肉とオクラのシチューと、キャッサバを醗酵させた餅)。オメナの住むデルタ州は、ナイジェリアでもっとも治安の悪い産油地帯に近い。遊びにおいでよと何度も誘ってくれるけれど、まだ会いに行けない。代わりに彼女が、イフェまでよく会いに来てくれる。2009年8月21日、イフェ、モダケケ地区の下宿先にて

2010年6月25日。朝一番、オメナに電話した。

機嫌よく話す彼女。
「今日は仕事がオフになったから歯科クリニックへ行ってくるわ。ねぇ、信じられる? 誕生日に歯を抜かれるなんて」
「え~、それじゃケーキ食べれんちゃない?」

消灯まえに携帯でお祝いのメールを送った。寝ぼけ眼でオメナからの返事を読む。
「30になったってこと、ほんとうはすごくこわい。こんな気持ちになるなんて思わなかった。まあ、いいや。気にしないで。おやすみ、いい夢見るのよ」
夢の入り口で返信した。
「あと3か月でわたしもそうやけん。いい夢見ようね」

不安と期待であふれる胸に、30という夢を抱いて、わたしたちはあたらしい朝へ向かう。

Photo
オメナと一緒にわたしの部屋で晩ご飯を食べた(鶏肉とオクラのシチューと、キャッサバを醗酵させた餅)。オメナの住むデルタ州は、ナイジェリアでもっとも治安の悪い産油地帯に近い。遊びにおいでよと何度も誘ってくれるけれど、まだ会いに行けない。代わりに彼女が、イフェまでよく会いに来てくれる。
2009年8月21日、イフェ、モダケケ地区の下宿先にて

(毎週土曜日更新)