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Please call me. I love you.

2010年10月9日

“Please call me. I love you.” (「電話ください――あなたのこと思っています」)

真昼の太陽が照りつけて、車内は蒸れていく。左右に座る人たちと密着した太ももは汗でにじんでいく。メール着信音が鳴りはっとして、手さげ袋をまさぐる。
“Please call me. I love you.” (「電話ください――あなたのこと思っています」)
つかんだ携帯に表示された、「いつもの」テキスト・メッセージ。渋滞停車中の満員バスのなか、ひとりほほえむ。

ナイジェリアの某メジャー携帯電話会社は、その会社の携帯電話同士であれば、1日5通まで無料でテキスト・メッセージを送信できるサービスを提供している。「電話ください――話したいことがあります/助けてもらいたいことがあります/電話代(プリペイドのテレホンカード番号を)送ってください」という、あらかじめ決まっている4種類の定型短文。携帯が紡ぐ交流の糸。お金がなくても毎日交わせるコミュニケーションとして、9jaの若者たちの多くに重宝されている。

すいすい動く左手の親指。そのまま即座に、こちらからも彼女へ“Please call me. I love you.”。今日はまだあと2通分残っとうけど、誰に送ろうか――湿っていくズボンのことを忘れていた、数十秒。動かぬバスから解き放たれて、メッセージはもう届けられた。

Photo
大学行きの路線バスのなか。狭い車内、間近で向けたカメラに笑顔でこたえるシェグン(左)と、携帯で話しつづけるウチェ(右)。いまや携帯を持たない大学生以上の若者はほとんどいない。
2009年12月3日 イフェ、イレモ地区のエデ道路にて

(毎週土曜日更新)