友を招き、友を訪ねる
2010年12月25日
この年(2008)のクリスマスは日曜日だった。街の様子は普段と変わらない。乾季の灼熱と砂埃で霞んでいるせいだろうか――赤、白、緑、金、銀の「クリスマス色」はどこにも見あたらない。イスラム教徒の人たちにとってはいつもの日曜日だし、クリスマスをとくに祝わないキリスト教宗派に属す人びとも多い。ショッピングにケーキの予約、サンタクロースと靴下のなかのプレゼントは、世界のごく一部の話なのかもしれない。
一本の電話がかかってきて、昼過ぎに家を出た。木彫家のオバダレさんが自宅へ食事に招いてくれた。奥さんの手料理は、調理用バナナの素揚げと鶏肉が添えられたトマト味のピリ辛炊きこみご飯。ギニア湾岸諸国で一般的な料理だ。
食事と話をたのしんだ後は、20分ほど歩いてオバダレさんの友人アヨデジ夫妻の家へ。クリスマスの飾りつけなどはやっぱりなかったが、この日を祝うべく、同じような炊きこみご飯とソフトドリンクが準備されていた。「気まぐれに」電気がやって来ていたから、アヨデジ夫妻はビデオCD(VCD)でアメリカ映画を再生しながら、オバダレさんと他愛もない会話をしてはよく笑っている。
玄関で記念写真を撮ると、背の伸びきった影法師たちを引き連れてわたしたちは家路についた。
(毎週土曜日更新)