大学へ
2011年4月23日
ナイジェリアには、国公立と私立をあわせて100を超える大学が存在する。とくにこの10年間で、「貧しい人たち」以外は大学を卒業することは常識となりつつあり、大卒でなければ就職も難しい。近年では、よりよい職に就くために修士課程に進学する若者も少なくない。
大学へ進学すること、しかしこれがことのほか難しい。人口の増加に比例して受験者数も増えつづけ、とくに有名な大学の入試日は大学も街も対応しきれなくなる。試験前夜は運がよければ教室で、そうでなければ屋外で夜を明かす受験者たち。夜通し試験勉強をする彼らをターゲットに、1本10円ほどの蝋燭も50円にまで跳ねあがる。当日は、椅子など置いていない化学実験室で立ったまま試験問題を解かなければならないものたちもいる。街なかも、交通運賃値上がりと大渋滞でごった返す。
競争率が高いなか、合格点だけでは入学に届かない。かならずと言っていいほどコネが必要なのだ。受験者やその家族が志望大学の関係者や関係者の知人を頼って「懇願する」のは、あたりまえの努力。不合格であれば翌年までまたコネを探しもとめ、受験料をたくわえる。予備校など存在しない。
それでも入学したい、入学させたい――最低限のステイタスを得るには大卒でなければならない現代ナイジェリアの風潮のなかで、若者やその親は切に願う。昨年5度目の入試に敗れた27歳の友人はさらりと言った。
「今年も受けるよ」
(毎週土曜日更新)