おのれを知る
2011年5月21日
モノレール、リムジンバス、飛行機、車、乗合バスを乗り継いで46時間。見るもの、匂うもの、聞くもの、触るもの、話す言葉……すべてがいつもと違う。いま、わたしは異国にいる。
水を汲んで、ほうきで掃いて、水を浴びて、マッチを擦って、明かりを灯す毎日。ばかみたいに時間ばかりかかる不便さに途方に暮れて、ふと気づく。場所を異にしても、変わらない自分を知る。
異文化を受け入れられずに自己主張ばかりの自分。遠く離れた土地でも繰りかえされる、ありがとう、ごめんね、元気? 気をつけて、お大事にね。どこで、なにをしていても、変わりないこの自分。
ほこりをはらってパパケイが取り出したのは、自画像だった。キャンパスに投影された24年まえの自分を娘と一緒に見つめている。時を異にしても、変えられないおのれを見ているのだろうか。
(毎週土曜日更新)