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戦友よ

2011年9月17日

2011年6月25日 イフェ オバフェミ・アウォロウォ大学キャンパス内、建築学部入り口まえにて

建築学部がある建物の脇に座って、授業を終えて出てきたマイケルと話をした。相変わらず忙しくしているマイケルとの1年ぶりの再会だった。

「ビジネスしながら生計をたてて、勉強もして、大変やね。どうやってこなしとうと?」
「本物の戦士って知ってる?」
「本物? 戦士の意味なら知っとうけど……」
「戦士の意味って?」
「なにかを守ったり、なにかを成し遂げるために闘う人」
「うん、そう。でもそれにくわえて戦士は戦場では絶対にうしろを振り向かない。過去を振り返らない。まえへ進みつづける。それが本物の戦士なんだ」

「マイケルらしさが全然変わっとらんで、なんかうれしいよ」
「俺らしさって? 変わってないって言われると、成長してないようにも聞こえるんだけど」
マイケルはけげんそうに笑った。

きみのような戦士がきょうもそこで闘っているから、わたしもここで闘える。時空を超えて、いつまでも戦友でありつづけたい。

Photo
看板の背後にある赤い屋根の建物ふたつが、マイケルの所属する建築学部(Department of Architecture)。貧富の差が激しく、インフラの整備されていない、アフリカ随一の大国ナイジェリアで生きていくことは想像に難くない。そこで生まれ育ち、学び、働き、養う者たちの力づよさとたくましさも、わたしたちの想像をはるかに絶するものだ。
2011年6月25日 イフェ オバフェミ・アウォロウォ大学キャンパス内、建築学部入り口まえにて

(毎週土曜日更新)