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「9ja」ことナイジェリア

2010年1月16日

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ナイジェリア連邦共和国(以下、ナイジェリア)は、アフリカ大陸の西側、サハラ砂漠の南側に位置し、アフリカ大陸随一の人口をほこる大国である。総人口は約1億4~5000万人。ナイジェリア最大の商業都市であるラゴスの人口は推定1700万人だ(参考まで東京都は約1300万人で、ラゴスの人口密度は東京都の約2.8倍)。

国土面積は日本の約2.5倍。熱帯に属するが、南部、中部、北部では雨量や温度にかなりの差がある。砂漠に近い北部に対し、南部では熱帯雨林が見られ、また中部の高原地帯は肌寒い。ハウサ、イボ、ヨルバと呼ばれる人びとがナイジェリア3大民族といわれているが、そのほか250以上もの民族があるとされており、言語も、公用語である英語のほか300以上の言語が使用されているという。英語はナイジェリア独特のピジン・イングリッシュが主流である。

宗教は北部を中心としたイスラム教、南部に広がるキリスト教、そして全国各地の伝統宗教がある。おもな産業は産油とカカオの生産。南南部ナイジャー・デルタ地帯の産油量は、世界の産油国のなかでも10位以内に入る。1960年にイギリスより独立をはたした後、60年代後半に内戦、70年代にはオイルブームを経て、90年代後半までほとんどのあいだ軍政がつづいた。1999年より民政をとりもどし、現在にいたる。

世界にとどくナイジェリアについてのニュースは、北部や中部を中心とした宗教衝突、そして南南部の産油地帯での紛争や外国人の誘拐がほとんどである。2009年12月のクリスマスに、アメリカ合衆国行きの航空機内で起こったテロ未遂の犯人がナイジェリア人であったことが報道されたのは記憶に新しい。国内のインフラは乏しく、観光化もほとんどされていない。海外からの個人旅行が非常に難しいこともあり、多くの人びとにとって、ナイジェリアは近寄りがたい国となっている。このため、ナイジェリアの素顔、その地で明るくたくましく生きる人びとの姿を世が目にする機会は少ない。

筆者のおもな滞在先であるイフェ(正確にはイレ・イフェであるが、便宜上、一般的にイフェと呼ばれている)は、ナイジェリア南西部に位置する人口約40万人の小規模都市。渋滞がなければラゴスから車で3時間ほどで着く。イフェは、ナイジェリア南西部からベナン共和国南東部を中心に広がるヨルバ民族発祥の地とされている。ナイジェリア屈指のマンモス大学が所在するために20代の若者も多く、農業のほかは、大学を中心に経済が保たれている。

本フォト・エッセイの題にある「9ja」とは、ナイジェリアを意味するスラングである。これは「ナイジャ」と読まれ、「Naija」と書かれることもある。現在、とくに携帯電話のテキストメッセージを中心に英単語の省略形が数多く造りだされているナイジェリアでは、「9ja」という表現がよく使われる。

(毎週土曜日更新)