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Google, Facebook and next

2010年12月31日

今回は、インターネット上で扱われる情報について、インターネットと現実世界の接点という視点から、今後の潮流について考察してみたいと思います。

これまで

インターネットの黎明期の頃のことを覚えているでしょうか。未知の情報基盤に、多くの人が期待を持って押し寄せました。その未知の場所に何があるかわからないため、地図と羅針盤を求めてYahoo!のようなポータルサイトを使いました。Yahoo!のようなサービスが、文字通りポータル(入り口)となって、人とインターネットの最初の接点となりました。

その後、より多くのウェブサイトが世界中に立ち上げられるようになると、人力で世界中のウェブサイトをディレクトリに整理しようというYahoo!の方法には限界がでてきました。そして、Googleなどの企業が高い技術力を武器に世界中の情報を検索可能にしました。2010年7月には、Yahoo JAPANは、検索に関してGoogleの技術を採用することを発表しています。

インターネットの入り口が検索エンジンとなったため、検索キーワードや検索結果として表示される内容に関連した広告を低コストで掲出可能にすることで、Googleが大きな財を築くようになりました。

現在

ウェブサイトやインターネットを利用したサービスなどが潤沢に提供されるようになって、どこにどんな情報があるのかを多くの場合ユーザがすでに知っているという時代に突入しました。そのようななかで、ユーザは、自分にとって必要な情報のみをあらかじめ特定しておいて、双方向での親密なコミュニケーションをとるようになりました。
例えば、筆者は、興味のある情報の流入経路をTwitterFacebookに絞りながら、そこに確実に必要な情報が掲載されるようにカスタマイズをしています。Twitter上に関しては、友人や同僚のつぶやき以外にも、お世話になっている組織や購読しているニュース、大好きな製品などのアカウントをフォローすることで、これらの情報が集約されるようにしています。

筆者の朝は、Twitter上での更新情報を確認することから始まります。そうすることで、その日やその前日くらいまでのそれぞれのタイミングでの「現在」をまとめて確認することができるのです。必要に応じて、リンクされている情報を参照することで、詳しい記事を閲覧することもできます。情報源であるつぶやいた本人に直接質問をしたり、多くの人を巻きこみながら議論を交わすこともできます。興味のある情報をほかの友人に教えることも簡単です。これは、従来一般的であった「朝に新聞を読んで、夜にテレビでニュースを観て、一日の情報をまとめて俯瞰する」といった方法に比べて、タイムリーに情報を得たり、ソーシャルなコミュニケーションができるという意味で、大きく進歩しているように思います。

また、Facebookは、企業内やプロジェクトメンバー、近しい友人とのあいだでの情報共有のために用いています。Twitterとの比較でいうと、よりクローズドな(完全公開ではない)コミュニケーションに用いています。Facebook上のGroup機能やFan Page機能が非常に優れているため、とても効率的に、リアルタイムのコミュニケーションができるようになっています。今日では、「中国、インド、Facebook」ともいわれるほどに多くの人がFacebookを利用しています。また、そこではユーザの詳細なプロフィールが参照できるため、企業にとっても、具体的にどこの誰にどんな訴求をしたいのかを指定しながら、効率的で効果的なコミュニケーション(広告)をすることができるのです。

FacebookやTwitter以外にも、ソーシャルメディアの特性を活用することで、例えば、 Conyac(ソーシャル翻訳サービス、前掲記事「“ほんやくコンニャク”を超えるひみつ道具」を参照)やQuora(ソーシャルQ&Aサービス)のように、ユーザが知らない情報の獲得を、それを知っている誰かが助けやすくするようなサービスも提供されるようになっています。

今後

これまでインターネットと現実世界との接点を、時代に合わせて効果的に創り出してきた企業が成功を収めてきましたが、今後は、どのような潮流にあるのでしょうか。

筆者は、より現実世界との関わりに重きをおいたサービスが加速度的に主流になっていくのではないかと考えています。前述のようなソーシャルなサービスもそうですが、今後はそれ以上に、この「現実世界」が重要になってくるのではないかと考えています。例えば、ユーザの現在の位置情報を効果的に活用したサービスなども該当しますが、ひとつの例を紹介しましょう。

ELP(Energy Literacy Platform)は、家庭内の電力消費行動をシンプルなデバイスとアプリのみで簡単に管理、可視化することのできるサービスです。これは、東京発のスタートアップ企業であるSassorが開発中のサービスであり、家庭内のあらゆる電源に簡単なモジュールを挟むだけで(大きな設備投資なしに)、家庭内のどの家電が、どのくらいの電力を消費しているのかを、ウェブサイト上やiPhoneのようなスマートフォンから、リアルタイムでモニターしたり、遠隔から電源のOn/Offを制御したり、さらに、それをソーシャルに共有したりすることを可能にします。

Overview of Energy Literacy Platform

Overview of Energy Literacy Platform

Sassorの仮説はこうです。今日のほとんどの行動は電力消費行動に置き換えることができます。そのため、電力消費行動を効率的に収集し、それを簡単に効果的に管理することができれば、電力の使用量削減のきっかけにできるだけでなく、ユーザの行動特性やライフスタイルそのものをリアルタイムで可視化することができるようになります。

このことがどんなインパクトを持っているのか、想像できるでしょうか。検索エンジンに入力するキーワードも、ソーシャルメディア上にあるつぶやきの記録やソーシャルグラフも、実際の一日における生活のなかでは、ウェブブラウザやスマートフォンの前にいるわずかな特定の状況でしかありません。しかし、個別の電力消費行動は、すなわち、現代の文明社会に生きるほぼすべての人にとって、現実世界の行動履歴そのものなのです。

検索エンジンがないと情報獲得が難しかった時代には、そこ連動した広告が効果的でした。ユーザがソーシャルメディア上に滞留している今日では、そこにアカウントを開設して親密な交流をしたり情報提供することが効果的となっています。そうしたなかで、今後は、現実の生活行動すべてが、ソーシャルなストリームと連動しながら、私たちのコミュニケーションをより円滑にしていくのではないでしょうか。

* こちらでEnergy Literacy Platformの紹介ビデオを閲覧することができます。