ソーシャルメディアに潜む危険
2010年11月10日
今回は、ソーシャルメディアに潜む危険とその回避策について議論してみたいと思います。
Googleのエンジニアが未成年者をストーカーしたとして解雇
今年の7月に、GoogleのSite Reliability Engineersに所属していた27歳のエンジニアが、社内からのみアクセスできる特権を使ってGoogleのユーザの情報に不正アクセスし、少なくとも4人の未成年者に対してインターネット上でのスパイ行為を行ったとして解雇されました。
何人が彼のスパイ行為の犠牲者であったのかについて明確ではないですが、プライバシーを侵害された犠牲者には男性も女性も含まれているとのことです。
そのうちのひとつのケースでは、彼が友達になった15歳の少年が、その少年の新しいガールフレンドの名前を教えるのを断った後に、その少年のGoogle Voice(Googleの提供する電話サービス)の会話履歴を閲覧したとのことです。彼はさらに、その少年のガールフレンドの名前と電話番号を調べ上げ、彼女に連絡をするといって脅迫をしたとのことです。
他のケースでも、プライバシーを侵害されたユーザが会話を拒否したにもかかわらず、Gtalk(Googleの提供するチャットサービス)上のユーザの情報を開いたとのことです。
モバゲーの青少年監視体制は十分?
一方で、ソーシャルメディアの普及が米国ほどではないまでも、日本国内に目を向けてみると、ソーシャルゲームサイトを通じて知り合った高校生の殺人事件も実際に起きています。
こうした状況を受けて、総務省の「 利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」が、2010年9月21日、「青少年インターネットワーキンググループ(WG)」の第1回会合を開催しました。青少年のインターネット利用環境の整備に向けて、2009年4月1日に18歳未満の携帯電話利用者に対してサイトのフィルタリングサービス適用を義務づける「青少年インターネット環境整備法」が施行されているからです。
最初の会合でディー・エヌ・エー(DeNA)は、2000万人を超える会員を持つ自社サイト「モバゲータウン」におけるサイト監視の内容を説明しました。モバゲータウンには、会員間のメッセージ「ミニメール」やサークル掲示板、日記といった機能を利用した投稿が1日当たり1000万件以上といった膨大な量のために、まずはシステム的に内容をチェックすることで投稿のブロックや削除をしているそうです。例えば、「きもい」「しね」といった違反キーワードを含む投稿を抽出し、内容を確認してブロックしているとのことです。
しかし、子供たちは、こうした監視をすり抜ける方法を知っています。最近では隠語などを用いてキーワードチェックをすり抜けるような文章が増えているとのことです。例えば携帯電話番号を「090→わらわ」として携帯電話機のキーの文字で表現する、絵文字の丸数字で表現する、といった単純なものから、「やわらかぎんこう→ソフトバンクモバイル」「子どもだよ→NTTドコモ」といった隠語を用いてアドレスを表現するものまであります。
これらに対処するために、モバゲーでは、サイト内のシステム的なチェックに加えて、400名のスタッフが24時間体制でサイト監視を実施しています。システムではチェックできない動画や画像の投稿内容もすべて目視でチェックしているといいます。しかし、これだけで対策は本当に十分なのでしょうか。
家族を守るために何ができるのか?
これらのニュースからわかることは、私たちはインターネットやソーシャルメディア上での危険から私たち自身で身を守らなければならないということです。GoogleやTwitter、Facebook、mixi、モバゲーはインターネットを利用した便利な、あるいは、楽しいサービスを提供してくれていますが、それらを開発し、運用しているのは、私たちの知らない他人であり、私たちと同じ生身の人間なのです。どんなに優れた監視システムを内部的に構築していたとしても、第三者によるモニタリングや、両親が直接目で見ながら子供たちと協力して危険を回避するということが必要なのです。
そもそも、システムチェックに加えてわずか400人の監視スタッフだけで、モバゲータウンの全ユーザ2000万人分の1でしかないあなたの子どもを守ることは不可能に近いのです。
このようなソーシャルメディア上における危険を回避しようと、米国ではSafetyWebやSocialShieldsといった、いくつかのサービスが立ち上がっています。ソーシャルメディア時代の個人をサポートする我々「一人企業」でも、この問題に真剣に取り組んでいます。