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なぜ、兄犬はカミツイたのか?!

2012年1月17日


我が家の愛犬アンディが、近所に住む兄犬を預ったときに、勃発したカミツキ事件。詳細は前回を参照してもらうとして、なぜ仲よしの兄犬にいきなりかまれてしまったのか、事件の後、私と相棒の女性は、その原因を深く、深く考えた。そして次の4つのルートから原因を探っていった。
それは
   その1:もともと実は、あまり仲がよかったわけではなかった
   その2:ひとりっ子と2頭飼いの違い
   その3:それぞれの家の日常のライフスタイルと育て方の違い
   その4:預かっていたときの兄犬の精神状態
である。

そして私たちが得た結論は、シンプルに次のことだった。
「兄犬は預けられている私たちの家を、自分の家と思ってしまうぐらいにリラックスし、そしてちょっと気に入らないことをしたアンディをかんでしまった」
である。

両方とも未去勢の真性の雄犬である。だから、いくら昔から知り合いで一緒に遊んだり、多くの時間を共有してきた経験があっても、そこにはかならず対抗心が存在し、雄だからよけいに両者のあいだには上下関係づけの目に見えないせめぎ合いというものは避けられない。仲のよしあしの問題というよりも、そこはどちらのテリトリーでどちらが上なのかということが何よりも優先されるだろう。それを兄犬が的確に認識できていれば、今回のようなケースは起こらなかった。しかし、先程述べたように兄犬はここを自分の家と勘違いしてしまったため、鼻先が少し前に出ただけでアンディを襲ってしまったのだ。

では、なぜそうなったのだろうか、考えられる理由はいくつもある。まず、兄犬にとって自分の家に次いで我が家がなじみ深く、そして楽しい体験もたくさんしていて、さらに我々二人のことが大好きだということ、また、事件が起きたのが預けられた初日ではなく、3日目だということ、そのあいだ私たちも寂しいだろうからと兄犬をいつも以上にかわいがってしまったということ。そりゃ、ここは自分の城と勘違いしても仕方がないかなと反省しているほどである。

また、パピーの頃、うちのアンディは兄弟のたちのなかでもほかの犬にいじめられる弱い立場で、その頃の記憶はおそらく兄犬の方にもあるから、そういう上下関係の認識が深層の部分で残っていたということもあるだろう。

さらにアンディには最初から先代のセナが我が家にはいて、2頭飼いの環境で育ってきているので、犬としての社会性は自ずと高いのだが、兄犬の方は、5人家族の家庭のなかで最初から1匹だけで育ってきているので、やはり甘えん坊でちょっとわがままで、精神的な幼さもまだ見受けられる犬だ。そのあたりも関係していると思われる。

そして、預かった頃は、兄犬が大好きな夏も終わり、家で留守番をする時間も多くなっていたみたいで、彼がはじける機会も少なく、ちょっとストレスがたまっていたかもしれない。そんな状態だったら、我が家が楽しくて、勘違いしても不思議ではないだろう。

冷静に振り返り、情報を総合的に分析してみれば、このようにさまざまな要因が思いつくのだが、兄犬を預かることも私たちにとっては日常に近いことなので、そのときは正直そこまで考えが回っていなかった。だから事件には驚いたし、兄犬の家も、周囲の犬仲間もみんな驚愕したのである。いくら慣れていても犬は犬であり、慣れている行動とはいえ、やっぱり犬は動物。油断は禁物ということを深く痛感させられたできごとだった。

そして何よりも、咬まれてしまった愛犬のアンディには本当に申し訳ないことをしたと、二人で今でも心から詫びている次第である。

ごめんね、アンディ

※ところで、この年末年始に我が家にもう1匹家族が増えました。次回からはこのニューフェイスが頻繁に登場しますのでお楽しみに

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治療のときにモデル犬だから丁寧にお願いしますと、獣医さんに強く言ったことが効を奏したのか、マズルの左側の咬まれた傷口はすっかり癒え、痕もわからないほどに回復。

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事件の後に兄犬と初めて再会したときは、こちらも少し緊張したが、取り越し苦労におわり、散歩で会うと相変わらずお互い張り合いながらも一緒に遊んでいる